デンタルオフィスみなと 公式ブログ

静岡県沼津市の歯科医院「デンタルオフィスみなと」です。

【書籍】株式会社パレード社から「トップの言葉」が刊行されました。

2024年5月31日に株式会社パレード社から「トップの言葉」が刊行されました。

p44-p49、当院の記事の部分の抜粋です。デンタルオフィスみなと院長の露木良治の言葉が「一歯入魂」として紹介されています。

トップの言葉

株式会社パレード 2024年5月31日発刊

 

露木 良治 医療法人社団みなと会 デンタルオフィスみなと 院長

 

【PROFILE】

露木 良治(つゆき よしはる)

1964年静岡県生まれ。明治大学を卒業し金融機関に勤務した後、歯科医師を目指す。松本歯科大学を卒業後、横浜市立大学大学院で口腔外科を学ぶ。勤務医を経て、2008年6月、沼津市内に歯科・小児歯科・歯科口腔外科の診療を行う『デンタルオフィスみなと』開院。学生時代からギター、ベース、ドラムを演奏し、歯科医院経営の傍ら、音楽活動を続けている。

 

【INFORMATION】

医療法人社団みなと会 デンタルオフィスみなと

〒410-0004 静岡県沼津市本田町5-17

TEL 055-926-8241

http://dentoffice-minato.com/

 

座右の銘

一歯入魂

 

「港」のように人が集まる「共感の医療」を目指して開院

 

2008年に開院した『デンタルオフィスみなと』のモットーは、「共感の医療」と「顔の見える医療」です。私は初診の患者さんが来られた時は、まず名刺をお渡しすることから始めます。社会人として当たり前のことなのですが、医療の世界はそうではありません。ご自身の名前を名乗らない医師、患者さんに詳しい診療情報を提供しない医師……。民間企業の常識とは違う医療の現場に戸惑いました。

そのような違和感を長く感じてきた経験もあり、当院は「港のように人が集まってくれるところにしたい」との想いから『みなと』と名付けました。私が生まれ育った沼津、口腔外科を学んだ横浜の地に共通する「港」にも由来するネーミングです。

そして「当院は、医療という海を航海するための海図を提供し、スタッフ全員が羅針盤となり、治療と予防を行い、より健康な人生、そしてより良い人生を送るための港として、社会に貢献することを使命とする」との理念を掲げて日々活動しています。

 

〝患者さんのバックグランド〟を知ることが、良い治療につながる

 

私は「患者さんの話をよく聞く」ことを重視し、スタッフにも「時間があれば、患者さんと雑談しなさい」と言っています。例えば、身近な方が亡くなったりすると通夜や葬式などの対応に追われ、歯磨きが疎かになりがちです。また嫌なことが続くと抵抗力が落ちて、歯茎が炎症を起こしやすくなります。ライフイベントと歯の疾患は密接に関係しているのです。そこで当院では、患者さんとの雑談の内容を「デンタルケア記録」に残しています。カルテとは別に、スタッフが患者さんの情報を何でも自由に書き込むために作りました。就職、転職、結婚、お子さんができた……など、患者さんのバックグランドを知らないと良い治療はできません。実際、建築現場で働いている方に「昼休みに歯磨きをしてください」と言っても難しい。そのような現状を把握すると、シリコンの折り畳み式コップを差し上げて「ペットボトルの水で磨いてください」などと助言したりするのです。

私自身は外出先の駅やショッピングセンターのトイレなどで歯磨きを行いますが、これは他の方々には結構ハードルが高いようです。衛生面のことから考えても、今後はトイレの隣に「歯磨きステーション」のような施設が設置されるべきだと考えています。また被災地の避難所では歯磨きが疎かになり、誤嚥性肺炎を引き起こして亡くなる高齢者の方々も少なくないようです。そんな災害関連死を起こさないために、避難所におけるトイレと風呂の設置に加えて、歯磨き場の設置も重要事項だと考えています。

歯の治療は都市計画と同じく「グランドデザイン」が不可欠

 

当院は客船の客室をイメージしています。駐車場からは車椅子対応のスロープがあり、院内は土足で、すべての場所が車椅子とベビーカーに対応したバリアフリー環境です。診療室はプライバシーを重視し、院内の動線分離に配慮した半個室のレイアウトは2014年に「病院用診療室」特許5538345号を取得するなど、幅広い患者さんが利用できるようになっています。また展示スペースを設け、柳原良平さんや手塚治虫さんなどの本物の絵を飾ったり、BOSEスピーカーから流れる音響でのリラックス空間づくりにも注力しています。絵と音楽は、多分に私の趣味による部分も大きいのですが。お陰様で、長いお付き合いの患者さんも増えています。その中には「大きな手術をするので、こちらに来院することができないかもしれない」とお別れの挨拶に来てくださった方もいます。幸い、その患者さんは手術後も当院に通っておられます。また「舌がんになったが、手術を受けたくない」と言われ、がんセンターに時々通われながら当院でできる範囲の緩和ケアで最期を迎えられた患者さんもいらっしゃいました。開業してターミナルケアをするとは想像もしていなかったのですが、それくらい信頼していただけたことに心から感謝しております。

そして、私は常々「グランドデザイン」の重要性を語っています。例えば、患者さんの残っている歯で最善の噛み合わせをつくるためには、一本ずつ診ていたのでは無理です。「上と下の歯、右と左の歯で、どうしたら噛むことができるか」などのイメージトレーニングが不可欠なのです。これは建築家が、何もない土地に「都市」をつくることと似ています。実は横浜にいた頃に『みなとみらい』の都市開発を目の当たりにしたことが、治療のゴールとも言えるグランドデザインの発想につながりました。

先日、ある特許申請を行いました。前述のように一本ずつだけを診て治療すると、弱い歯が次々と駄目になります。まず奥歯が弱ることが多く、奥歯がなくなった後、残った前歯同士で噛むようにする方法に着目しました。つまり「前歯の臼歯(きゅうし)化」です。簡単に言えば、一本ずつだと弱い前歯を連結して補強すると同時に、前歯の裏側に奥歯のような突起をつけるのです。この方法により、前歯だけでしっかりと噛めて、折れたりすることも防げます。ある意味で、革命だと自負しています。特許申請したのは、広く公開することで、多くの歯科医師にこの方法の存在を知ってもらうことが目的です。

 

10年後の人生をデザインし、レンガを一個ずつ積み上げよう!

 

2022年10月には『医療法人社団みなと会』を設立しました。医療法人は非営利であり、社会貢献のためのものだと思っています。「人は世の中を良くするために生きている」というのが私の考えで、その実現を目指して今後も歩んでいきます。

経営者としては、スタッフが働きやすい環境を整えることも使命です。これまで十一人の歯科医師を育ててきましたが、若い方々のためのスキルアップの機会を多数設けています。院内研修やマニュアルに沿った指導はもちろん、学会、セミナーへの参加費用の一部負担なども含めて、将来の独立開業も見据えた育成を行っています。逆に、ノルマのようなものは一切ありません。私の志、心意気を感じてもらいたいという想いが強いのです。

医師に限らず若い方々には、「学び」とはレンガを一個ずつ積んでいくようなものだと言いたいですね。都市をつくることも人生設計も同じです。十年後にはこんな建物(人生)ができているというデザインを描き、それに沿ってレンガを積み上げ続けることが大事です。今から積むのと10年後に始めるのでは大きな差が出てしまいます。

ちなみに私は51歳の時に恩師を亡くした際、今までやろうと思いながらできなかったことを全部再開しました。30年以上中断していた音楽もそのひとつで、一年に一曲ずつシングルを出そうと計画して実現してきました。そして今年は還暦記念でライブを計画しています。音楽は趣味の部分ですが、不思議にも仕事でテンションが上がった時に曲ができます。つまり、私の音楽は仕事と別物ではなく、明確につながっているようです。